単数も複数も同じ形の名詞たち

こんにちは!

レッスン後、学習者様より素晴らしい質問をいただきました。

Aircraft は Aircrafts にならないのですか?

単数でも複数でも形が変わらない特別な名詞について詳しく見ていきましょう。

aircraftから学ぶ単複同形の名詞

「77機の航空機」は、「77 aircraft」です。aircraftは単数でも複数でも同じ形を保つ、単複同形名詞です。

英語には数十の単複同形名詞が存在し、それぞれに興味深い背景があります。

単複同形名詞の代表例

動物たち

最も馴染み深いのは動物名でしょう。sheep(羊)、deer(鹿)、fish(魚)、moose(ヘラジカ)などは、古くから英語話者に親しまれてきた動物です。

One sheep is grazing.     (1匹の羊が草を食べている)
Many sheep are grazing.    (多くの羊が草を食べている)
水中の生き物

salmon(サケ)、trout(マス)など、漁業に関わる魚類も単複同形です。これらは狩猟や漁業の対象として、個体数よりも「獲物の種類」として認識されてきた歴史が影響しています。

専門・学術用語

species(種)、series(シリーズ)、means(手段)、headquarters(本部)などは、より学術的・専門的な文脈で使われる単語です。aircraftもこのカテゴリーに属します。

なぜ単複同形になるのか?

この現象には主に3つの理由があります。

歴史的変遷

多くの単複同形名詞は古英語時代から存在し、中世英語期の文法変化の波を受けずに現代まで残りました。sheepやdeerなどがその典型例です。

借用語の特徴

他言語から借用された単語は、元の言語の特徴を保持することがあります。moose(アルゴンキン語族由来)やsalmon(ラテン語由来)などがこれにあたります。

概念的な理由

個体よりも集合や種類として認識されやすいものは、複数概念が曖昧になりがちです。aircraftが「航空機という技術分野」として捉えられるのも、この理由の一つです。

aircraftの特殊性

aircraftは比較的新しい単語で、20世紀初頭にaircraftを組み合わせて作られました。語幹となったcraft (技能)自体が単複同形名詞だったため、spacecraft(宇宙船)、watercraft(水上乗り物)なども同様の特徴を持っています。

学習のコツ

単複同形名詞を覚える際は、文脈で単数か複数かを判断することが重要です。「This aircraft is new」(この航空機は新しい)と「These aircraft are expensive」(これらの航空機は高価だ)のように、動詞や指示語で区別します。

また、これらの単語の多くは特定の分野(動物、技術、学術)に集中しているため、分野別に覚えると効率的です。

お礼

今回も、学習者様が質問をしてくださることにより、素晴らしい学びを得ることが出来ました。質問は学習の解像度を上げることですので、英語に対するセンスが向上します。この記事をお読みになっている皆さまのお役にも立っていると思います。ありがとうございました。

 

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